【 覚書は、当事者の将来をトラブルから守るための約束(「境界立会いの、立会いへ」後日談) 】

「お隣が、家(土地を含めて)を売りに出すのに、境界の立会いを求められています。そこに同席して貰えませんか?」

ここから始まったサポートのお話(同時期に二件)ですが、その後日談です。

【 境界立会いの、立会いへ 】 – ねむ相続コンサルティング事務所

↑最初のお話はこちらです。

その後、二件とも無事に立会いは終わりました。境界の確認としては、双方の見解が違っていたり協議が必要な箇所は特にありませんでした。土地家屋調査士さんの説明される通りに、確認が進みました。

そして覚書の話題となります。境界自体は、上記の作業ではっきりしましたが、「越境物」が有った場合は「越境物の所有者は誰か」を双方で確認(共有の場合もあります)し、「越境状態を解消する時期」を覚書で定める必要があります。

まず一件目では立会いの結果、対象地から隣家(私の依頼者)へコンクリートブロックの塀一部や樹木が僅かですが越境している状態にある事が分かりましたので、「(建物やコンクリートブロック塀を)再建築・再築造を行う際には越境を解消する。双方とも所有者が変わった際には内容を継承させる」という主旨の覚書を土地家屋調査士さんが持参されました。覚書では一般的な内容です。私から依頼者へ特殊な内容ではない事をお伝えし、ご署名押印を戴き土地家屋調査士へ対応をお返ししました。

二件目では対象地へ隣家(私の依頼者)の擁壁が僅かですが越境しているという状態です。ここでも通常なら一件目と同じ様に「擁壁を再築造をする際に是正する」という主旨の文言が入るのですが、「対象地の所有者が要請した場合、隣家は随時対応しなければならない」という内容が敢えて加えられています。つまり、「家を建て替えるタイミングでもないのに、敷地の奥(家が建ったままの状態で)にある擁壁を本来の境界線に沿って是正(作り直しする)対応に応じなければならない」可能性が出てくるという酷な(通常の住宅地では工事自体困難な)内容です。また越境物の種類についても実際と異なる誤記がありました。

危険な内容と感じましたので土地家屋調査士に確認しました処、今回の書面は対象地の仲介をしている不動産会社側が作成した内容であったそうです。お願いし、削除・修正いただきました。日頃使っている文面(文例)をそのまま使用していただけなのかも知れません。

覚書の目的は何でしょうか?覚書は、簡単に言えば当事者同士の約束ですが、締結する目的はこれにより「当事者を未来のトラブルから守る事」だと私は考えます。

もう少し詳しく言えば、「境界を確定するに当たって、現状の越境状態を将来の一定の時期に解消する方法や考え方を、隣地トラブルが起きないように、現在の所有者同士で協議出来るタイミングで書面で定める約束事」です。読み方・解釈で一方ないしは双方が無理な権利や交渉を主張する余地があるものは、「何とでも言える」事になりトラブルを誘発し非常に危険であると私は考えます。所有者がもし変われば、残るのは書面のみです。目的がトラブル回避であれば、曖昧かつ主旨の変更を要請出来るような文言は不要だと考えます。

元来、覚書は当事者間で締結するものですが、当事者が全体を客観視して作成するのは難しく土地家屋調査士や不動産業者がサポートせざるを得ない現実があります。しかし、サポートする側の意識や文面においては、「必要以上の権利意識や損得を当事者に感じさせないように、現在および将来のトラブル回避に重点を置く」必要性を強く感じた次第です。

前回も記しましたが、境界の確認や覚書の締結は、「それぞれの権利を主張し合う場」ではなく、それは置いて「未来へ向かって、新たな認識を確認し合う場」であるのが望ましいと私は考えます。良い機会・タイミングです。何か言いたいお気持ちが出てくる事情も有る事は分かりますが、口に出れば後戻りは出来ません。「近隣トラブル・諍いを抱えた土地」となってしまうかも知れません。私は「当事者同士を出来る限り将来の近隣トラブルから守る」という方向でのサポートを志向しております。

有限会社音夢 ねむ相続コンサルティング事務所

音在則孝 0992-681-3724 / 090-3415-3703 

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この記事を書いた人

音在 則孝

音在 則孝

家具メーカーや注文住宅メーカーの営業職を経験後、
三井のリハウス 天神センター(九州北部リハウス(株))等不動産会社にて
主に居住用不動産の売買仲介や、買取再販業務に従事。
2020年より有限会社音夢(ねむ)にて、福岡市内を中心に
不動産売買において、より細やかな対応を実施。
2021年より相続コンサルタントとして活動を開始。

【保有資格】
・相続診断士
・宅地建物取引士
・2級ファイナンシャル・プランニング技能士