私の現在の住まいと、事務所のある地区は、
福岡県福岡市の東部にあり「香住ヶ丘(かすみがおか:1~7丁目)」と呼ばれる地区です。
駅の近く公園の入り口に石碑が置かれ(昭和31年)、「町作り」の記録が残されています。
「香椎土地区画整理竣工記念」と題され、大戦後、住宅不足の緩和を目的として、昭和24年に造成が始まり昭和30年に終わったと記されています。
私の祖母や父も昭和30年頃、県営住宅(後に払下げを受ける)に入りここでの暮らしをスタートさせたそうです。
幼少の頃から目にしてきた石碑ですが、刻まれた文章を初めてしっかりと読んだのは30代の終わりで全国転勤のある仕事が終わり、福岡へ戻って来た頃でした。
当初は何気なく眺めておりましたが、どこか惹かれるものを感じて時折立ち止まるようになりました。
よく読んでみると、ただ工事造成の記録というだけではなく他人事ではないお客様としてではない、
自分たちが関わって町をつくったという思い、誇り気概に溢れている部分に大変感じ入ります。
石碑との再会後私は住宅営業の仕事に就き、現在は相続と不動産の仕事をしています。地域・個人の暮らしに目を向けた仕事に変化していきました。仕事の中では、当然苦心し 悩む場面も有りますが解決を探し日々活動しております。そんな私にとってこの石碑の言葉は、「一歩一歩進むしかない」と思い返す時に傍にある身近な地域の記録です。
文作された方は、詩人であり現場の仕事を相当によく知る方であったと思います。また、「労苦夢の如きものあり」というくだりなどは、全ての仕事人の心に実感として届くものではないかと感じております。
特に印象的な部分をご紹介します(一部漢字をPCで使えるものに置き換えています)。文章は格調高く感じますが、地に足の着いていない言葉は一つもありません。
「赤松の疎林を拓き、岩石を穿ちて道を創り丘を均して家を建て ここに工事全く成る よって記念に碑を建て 経過の大要を記して碑文とし 関係者の労をねぎらう」
「(中略)まづ駅前広場を整備し 幹線道路を作り 県営住宅二百余戸を建つ 併せて井を掘り水を引き 住宅地帯としての 面目を具有するにいたる」
「憶へば当初ポールを立て トランシットを運ぶに 藪をはらひ地を匍ひて 路線を選定せし労苦夢の如きものあり」
「道なきに道を創り 家なきに家を建て 地貌更まり今新しき町作り全く終る」
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有限会社音夢 ねむ相続コンサルティング事務所 音在 則孝 電話092-681-3724